『今徒然』 ~住職のひとこと~
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第56回 ~悪魔とAI~
2025-06-13
“悪魔”は、四年ぶりに第45代アメリカ大統領の座に返り咲くと、不敵な笑いを浮かべて、ペンを摑み、あらゆる憎悪、ヘイトと称する謂われなき敵意や人種差別を肯定し、教育と知性と環境を破壊し、弱者を迫害する夥しい大統領令に、幼児の落書きのごとき署名をして、喚き散らし恫喝した。“アメリカ・ファースト!”かくて、アメリカは四年前に逆戻りをし、世界は、戦争や人間の生死をポーカー・ゲームに譬えるこの男の“サイコ・パス”的想像力の餌食となった。全世界に伝播するこの老人の狼藉無法を何かが止めない限り、アメリカの悪夢はこれかも更に膨張し続ける。
数年前のERBのドラスティック利上げは何だったのか。毎日のように市場は乱高下し、ダウ平均もナスダックの指数もジェット・コースターのように騰落を繰り返す。“VIX恐怖指数”別名トランプ指数なるものから眼が離せない。輸入品に法外も度を過ぎた関税を課し、自由貿易を駆逐する以外に、この老人の頭に経済施策なるものはない。結果、国内の異常なインフレは常態化しスタグフレーションといってもおかしくない状態が続いている。アメリカ国民は、この悪魔に何を売り渡したのだろうか。明らかなのは、良識や善意のすべてが踏みにじられ唾棄されたことだ。
いま世界で、悪魔を予感させるものが、トランプの他にもう一つ存在する。現実にはあり得ない写真や動画その他を何の躊躇もなく創り出すAIである。少し以前まで、フェイクとして警戒されたものも、今では、虚実がコラボして、より面白く美しければいいという価値観に擦り変わった。AIの技術に人間の脳が影響され、依存し始める第一段階を踏み越えたのかもしれない。AIは、時間とともにあらゆる人間の学習能力や生活の随所に浸透し、徐々に効果を発揮し始める。喜怒哀楽を露わにせず、深く静かに依存度を深め、近未来に亙って人間の知性を脅かす。
さて、不愉快な話題が続いたので、ストレスでアドレナリン出過ぎという向きもあるかもしれない。そこで、AIで悪魔の改良を試みてはどうだろう。トランプ大統領のフェイク動画など創って、性格をそっくり入れ替える。例えば、チャップリンとかマザー・テレサとかジョン・レノンとか。『イマジン』に謳われるような愛と非暴力の差別なき社会、寛容な移民政策、テロや飢えのない世界。人々は歓喜に沸き返るかもしれない。そして、改良されたトランプがサイコ・パス的な発想を棄てて、他人の話に耳を傾ければ、必ずストレス・フリー社会が実現することだろう。
令和7年 6月13日


