『今徒然』 ~住職のひとこと~
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第2回 ~人生の苦と幸いと~
2020-09-01
お釈迦様は、人生のプロセスを称して『生老病死 』の四苦 であると説かれました。この『生老病死』は何人 も動かすことが出来ない人生の事実であり、また誰もこの四苦から免れることはできません。そして、私たちは誰もが、今この『生老病死』のプロセスの只中にいます。
人生が苦であるということを前提とするなら、人生は生きるに値しないのか。それが問題です。
私たちは"苦"を苦であると感じる同じ心で、"幸せ"を感じることもできます。そして、どんな時にも、どんな境遇でも、何かしら幸せの種を探し求めようとします。何を幸せと感じるかは、その時々、また人それぞれです。但し、どんな人生も、幸せをてんこ盛り にするような器として造られてはいません。
"苦しみ"と同様"幸せ"にも実体がなく、幸せという予定調和的な状態がある訳でもありません。
人生の"幸 い"は、日常の些事に埋もれて見えにくく、仮りに見えても、私たちの気づかぬ間に、目の前をそっと通り過ぎてゆくのかもしれない。『人生皆苦 』の巷で、束の間みる夢のようなものなのかもしれない。
因みに、フランスの作家モーパッサンは、『人生』(邦訳名『女の一生』)という小説の末尾で作中人物に次のように語らせています ──「人生って、人が思うほど良くもないけど、悪くもないわね」。
令和2年9月