『今徒然』 ~住職のひとこと~
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第4回 ~自行化他~
2020-11-01
社会福祉法人光明寺福祉会が運営する保育園のHPのトップページに『慈 しみの心を開きます』という保育方針が掲げられています。桜の花びらが子どもの小さな手のひらに包まれた背景の画像は、保育現場で撮った数千枚の写真ファイルから、私が選びました。他の画像も気に入っていますが、私はこれが一番好きです。
ものごころついてまだ間もない子どもたちに、"慈しみ"を説くのは難しいので、私はこれを『自分以外の他のひとを思いやる心』と教えています。そして、それがとりもなおさず『仏様の心』である、と。自我が芽生え始めた幼児にどれだけ通じているかわかりませんが、そういう私の心の裡 に、ひとは自分自身のためでなく、自分以外の他のひとのために何かを為すために生まれて来るのではないか、という漠とした想いが去来することがあります。
仏教では、仏事を営んで故人の冥福を祈ることを『回向 』と云います。自分が積んだ善根功徳を回し向けて亡き人を供養するというような意味になりましょうか。また自分の仏法修行を他に及ぼし、延いては広く衆生済度を祈ることを『自行化他 』とも云います。この『自行化他』こそ、仏法修行のモチベーションそのものなのではないでしょうか。
そして、『回向』にも『自行化他』にも、須らく、他を思いやる"慈しみ"の心が通底していることは云うまでもありません。光明寺福祉会のトップページを飾る、子どもの手のひらに優しく包まれた桜の花びらのように、いつも心に"慈しみの花びら"を懐 くものでありたい。いつもさりげない思いやりをかけられる人でありたいものです。